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2011年8月11日

●マイ・ラスト・ソング

残暑お見舞い申し上げます。

熱中症の心配がまだまだ続きそうです。皆さん、くれぐれもお気をつけ下さい。

レコーディングも終わり、いよいよ夏休み!…ではなく(笑)、これからはライブのリハーサルや「演歌がええじゃん」の収録などなど、が続きます。

さて、夏休みといえば読書感想文。一冊の本との出逢いが胸ときめかせ、人生に深みを増し、新しい考えに気づかせてくれることもあります。

以前読んだ、久世光彦さんの「マイ・ラスト・ソング - あなたは最後に何を聴きたいか」という著作の中で、松原のぶえさんの『蛍』が紹介されていました。


♪はぐれ蛍が よりそって
しあわせ手さぐり  夢さぐり
きれいごとでは 愛しきれない
この人と この人と 命かさねて
生きるふたりの 濁り川


名曲ですから本を読む前から何度も聴いていましたが、改めて歌詞を読み返し、のぶえさんの歌唱を聴いてみると、以前の僕では気づけなかった、主人公の心の叫びのようなものを、ヒリヒリと感じます。

そして、さだめられた短い命を知ってか知らずか、生を受けたその瞬間から、健気に、ただ懸命に生きようとする‘蛍’そのものの存在も…、何とも言い難いです。

幼い頃住んでいた故郷では、夏になると必ず、近所のみんなで蛍を見に行きました。今となってはそれらの土地もすっかり開発され、とても蛍が住めるような環境ではありません。

まさに歌詞の続きのようです。


♪水が濁った この街に
 蛍は住めぬと 人はいう


でも、その次がしびれます。


 いいの一緒に 翔べたらいいの
この人と この人と おなじ運命(さだめ)を
生きるふたりの 情け川


「水が濁ったこの街」の解釈は人それぞれでしょうが、この歌詞をなぞると、なぜか胸が熱くなります。
演歌が心に沁みる、そんな年令になったのでしょうか?いや、演歌に限らずです。

大先輩・のぶえさんが「蛍」を歌われる時の“楚々とした絶唱”は、歌い手の後輩として目指したい境地です。

ところで、僕にとってのマイ・ラスト・ソングは…。

最後となると…、やはり悩みます。

さすがにこれだけは、答えを出すのはもう少し先のばしにしてもいいですよね。

でも、あえて言うなら、何の曲かまだ答えは見つかりませんが、伝説的なJAZZのバラードシンガーJimmy Scottの歌声を聴きながら、最期を迎えることができたら…。

これが僕の終わりのない‘マイ・ラスト・ソング’